キエナイ イタミ


神鳴りが鳴る

自分の為に?

それとも・・・・

彼の人を哀しんで?


ああ

違うよ

君を忘れたわけじゃない




最近、風雅の統括区内はピリピリしていた。
原因は突如として現れた「雷帝」と呼ばれる存在。
当然、風雅のリーダー「絃の花月」の緊張も張り詰めていた。
笑顔が少なくなり、常にいらいらしている。
日ごろが穏やかな分、その変わりようは幹部以外でも気づく者がいる位であった。


逢ってみようか・・・・一人で


一人自室にこもりながら、花月は思う。
ベッドの上で転がりながら一人で考える事が最近多くなった。


そんな事を言ったら当然あの二人は反対するか、無理にでも付いてくるだろうな・・・・
ここであれこれ考えてもしょうがないか・・・・


小さく溜息をつき、そっと部屋を出ようとした時だった。
コンコンっと小さくドアがノックされる。
「花月・・・・いいか?」
声の主は筧十兵衛だった。
「何?」
「雷帝が現れた。この近くらしい・・・・どうする?」

ドクン

鼓動が大きく身体に響き渡る。
心なしか指先が震えるのを感じた。
「出よう、十兵衛」
きゅっと眉を引き上げ、ドアを開く。
そこには十兵衛と俊樹が既に待っていた。
静かに頷きながら、花月は二人の前を進む。
迷いの無い、確固とした歩きで。
その後姿を見つめながら、十兵衛と俊樹は黙って付き従った。

「花月」
二人から事情を聞いていた朔羅が廊下の隅に佇んでいる。
「私も往くわ」
既に覚悟が決まっていた朔羅の言葉を静かに聞きながら花月は黙って側を通り去る。
その無言を了承と受け取り、朔羅は静かに歩き始めた。


私たちが築き上げてきたモノを壊す「雷帝」
一体貴方は何が目的なの・・・・


朔羅の胸中はこれから傷つくであろう者達への思いと、その原因を作るであろう「雷帝」への怒りがあった。




カッッ!!




雷鳴が轟く。
それと同時に上がる悲鳴。
無言で相手を何も映さない虚ろな瞳で見つめる。

カツン

僅かな靴音に雷帝が反応する。

「君が・・・・雷帝・・・か」
雷帝の感情に反応して雷が鳴り響く。
自分に声をかけてきた相手を、雷帝は何の感情も込めずに見つめる。
肩にかかる髪を優雅になびかせ、立つ人物。


女・・・・・?


一瞬、そう思ったが違う事にすぐ気づいた。
『風雅』の旗印とその後ろに控えるメンバーをじっと見遣り、相手が「絃の花月」である事に気づいた。
冷たい瞳。
狂気を秘めた、それでいてぞくっと引き込まれそうな瞳。


絃の花月・・・・か


「雷帝・・・・君は少しやり過ぎたようだね・・・・」
男にしては紅い唇から冷たい声が響き渡る。
何の感情もこもらない、言葉。
その場にいた風雅のメンバーは十兵衛を始め全員が凍りついた。


こんな花月は久しぶりだ・・・・


黙って見守る中、花月は塀の上から飛び降りた。
慌てて追いかけようとした十兵衛と俊樹だったが花月の絃が行く手を阻む。
「二人はそこに・・・・・」
振り返らずに花月は言う。
全身に突き刺さりそうな位の殺気が、花月から立ち上る。


「ここは『風雅』の治めるエリアだ。君は遠慮して欲しいだけど・・・・」
そこまで言って花月はふっと笑う。
「そう言って引き下がる君じゃないだろうね」

りぃん

鈴が静かに鳴り響く。
雷帝からも雷が全身を包み込み始めた。




 弐     




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